広大インターンシップ

生物生産学部のインターンシップは、井仁地域や安芸太田町の皆様方と広島大学生物生産学部が連携して、学生が一定期間、井仁地域で現場体験したり研修生等として働き、自分の将来に関連のある体験を通じて地域に貢献する人材を育成しようとするものです。
 また、インターンシップは、教養ゼミ体験学習などを受講した学生が、より発展的な体験学習をおこなうための教育科目になっており、井仁地域・安芸太田町と大学の連携の下、学生が希望する井仁の棚田体験を実施できるように調整しながら進める仕組みになっています。

 以下には、27年度、28年度、29年度、30年度のインターンシップの活動状況を紹介しています。

平成27年度インターンシップ

インターンシップの概要

 安芸太田町井仁地区では、8月31日から9月4日までの4泊5日のあいだ、インターンシップを受入れていただきました。参加した学生は、生物生産学部1年生3名、2年生1名、総合科学部1年生1名、教育学部2年生1名の合計6名です。

ini インターンシップをおこなう上での地域での調整やプログラムづくりは、安芸太田町役場の方がおこないました。研修を受入れてくださったのは、井仁地区および、いにぴちゅ会の方々、井仁を担当する地域おこし協力隊の方です。地域の様々な方が、学生の日々の活動を支援してくださいました。

 主な研修内容は、棚田に流れる山からの水路にたまった泥や枯れ枝を取り除く作業、無人となった家に植えてある木の枝打ち作業、井仁地区の周りにある獣害対策柵にからまった雑草やつたを取り除く作業、ホンモコロ養殖の水揚げ作業、ワークショップです。

 宿泊先は、井仁地区にある小学校を再利用した交流館です。日々の食事には、地域の方との会食や安芸太田町役場の方がアレンジしてくださった地元の飲食店で食事をいただきました。

 研修中は、様々な地域の方が学生に声をかけてくださり、学生は今回の実習内容が地域にとってなぜ必要な作業なのか、直接聞くことができました。限界集落とよばれる地域が、どのような課題を抱えているのか、深く考えるきっかけになったようです。

実習の内容

 学生は、井仁地区で以下のような実習をおこないました。

8/31(月)

・井仁の自治会、いにぴちゅ会、安芸太田町役場の方、地域おこし協力隊の方と対面式。

井仁地区についてのガイダンスを受ける

・山に入って水路掃除

9/1(火)

・民家に植えてある木の枝打ち、掃除作業

9/2(水)

・獣害対策柵にからまった雑草やつたの撤去、水路掃除

・地域の方が作業をしやすいように山に倒れている木などを撤去

9/3(木)

・前日の作業の続き

・井仁で学んだことを考えるワークショップ

9/4(金)

・ホンモロコ養殖池の清掃と収穫作業

・ホンモロコの試食

学生の報告

・教育学部2年生

生物生産学部の「中山間地域・島しょ部連携特別講座」で安芸太田町役場の方の講演を聞き、人口減少や高齢化に直面している地域の現状を直接行って知りたいと感じて参加した。研修を通じて、集落を井仁えだうち「人が住めるところ」として維持していくには、水路の維持管理、空き家の手入れ、獣害対策など様々な作業が限りなくあることがわかった。棚田百選に選ばれている井仁の棚田だが、生産者の体力が衰え、耕作放棄せざる得ないところも増えている。体験を通じて、中山間地域の過疎化や高齢化問題の対応策は、手探りの状態で「地方創生」の手立てとして明確なものがないと感じた。現在おこなわれている対策も、現時点では良策かどうかの判断ができない。ただ、地域に住む人が最後までここに住んでいてよかったと思える地域づくりが必要なのだと感じた。自分なりにできることを今後も考えていきたいと思う。

・生物生産学部2年生

 生物生産学部の「中山間地域・島しょ部連携特別講座」で安芸太田町役場の方の講演を聞き、限界集落と呼ばれる地域で住民の方や自治体、地域おこし協力隊の方がどういった取組をしているか興味をもって参加した。体験を通じて、井仁地区の方々の行動力と問題意識の高さを感じた。私はこれまで地井仁いけ元や東広島市内などで高齢化・過疎化などに悩んでいる地域をいくつかみてきた。井仁地区の方々ほど「自分たちみんなで地域の問題を解決しよう」という意識の高い地域は、他になかったように思う。地域で取り組まれている、棚田体験会や観光の取組、棚田オーナ―制度、獣害対策、耕作放棄された棚田を利用したホンモロコ養殖は、井仁地区に住む方の気質・地域性があってこそ成り立っているように感じた。今回のインターンシップは、井仁地区の現状を知り、問題点やその解決に向けた取り組みをみることができた。こうした地域には、単発に訪れるだけでなく、継続的にかかわっていくことが重要であると実感した。インターンシップでは、自分の知識や経験を蓄積するだけでなく、再び井仁を訪れるきっかけにいたいと思っている。

 ・総合科学部1年生

インターンシップに参加し、自分の過疎地域に対する曖昧な思い込みを変え、就職に向けて何かを感じ井仁食事たいと思いインターンシップに参加した。研修では、地域の方が獣害対策に苦労していることや集落には若い人が少なく、地域を存続していくことに諦めの気持ちを持つ人もいることを知った。一方で、過疎地域に暮らしている方たちの日々の努力や優しさに触れることができた。これまで過疎地域が廃れていくのは仕方がないと考えていたが、地域の方々が諦めずに頑張っている姿をみて、自分の考え方を変えていく必要があると感じた。

・生物生産学部1年生

教養ゼミ体験学習で井仁に行ったことがきっかけで、今回のインターンシップに応募した。今回の水路掃井仁草刈り除や鳥獣害対策柵など体力の必要な研修を通じて、地域に若い人が少なく、人口が少ないことが集落を維持していくうえで大きな問題になっていると感じた。今回のインターンシップは、短期的には地域の役に立てたかもしれないが、地域では長期的な若者の受け入れを希望している。地域の維持活動に、若者が継続的にかかわれる仕組みとして、色々な人が参加しやすいアルバイトなどがあれば、自分はまた参加してみたいと考えている。

 

平成28年度インターンシップ

安芸太田町役場及び井仁地域(棚田)のの皆様のご支援をいただき、9月12日(月)~9月17日(4 泊5日)に4名の学生が地域志向のインターンシップ研修を行いました。

  研修メニューは、以下のとおり、オリエンテーション、棚田稲刈り、草刈り、民具の整理、あかり絵体験、障子の張り替えなど高齢者一人暮らしのお困り支援、 野草を食そう!、特産品を創ろう!、ワークショップ(域学連系を進めていくにはなど)など幅広い研修を行っていただきました。

 

月日(曜日)

作業・研修内容(なるべく具体的に記述すること)

9/12(月)

道の駅にて、安芸太田町のB級グルメ漬け焼きそばを食べた。その後井仁地区へ向かい、井仁棚

田交流館にて、地域の方々と自己紹介と井仁の歴史、現状について学んだ。また、実際井仁地区

に周辺の井仁地区を散策し、有害鳥獣対策のフェンスや、棚田の石垣、歴史について詳しく説明

を聞いた。宿泊は井仁棚田交流館(旧井仁小学校)にて行う。

9/13(火)

20年ほど前に井仁地区へ移住してきた梅田さんという元大工の方から、あかり絵という、木材に

彫刻を行い、後ろから光を当てた時に厚みにより光の色彩を変える作品についてお話を聞き、実際

際に体験してみた。午後からは一人暮らしのお年寄りのお宅へ伺い、お手伝いを行った。一人で

はむずかしい障子の張り替え作業を行った。

9/14(水)

有害鳥獣対策で立てられたフェンスの周りの草刈りを行った。これにより、フェンスに穴が開い

ていないかなどがわかりやすくなり、管理が容易になる。重要性を感じた。午後からは、井仁棚

田交流館二階にある昔ながらの民具の用途、名称を聞き、データにまとめる作業を行った。夜か

らは、自伐型林業のフォーラムに参加し、自伐型林業について学んだ。

9/15(木)

オーナー制度という、棚田を地域外の人にあずけ、稲の生産活動を行ってもらっている棚田で、

オーナーの家族のかた、地域の方と一緒に稲刈りとはで干しを行った。稲刈りは細かい部分は手「

作業で行い、実際に鎌で収穫した。バインダーという農業用機械も運転させていただき、貴重な

体験となった。

9/16(金)

井仁の除草剤、農薬等がかかっていないであろう場所へ行き、野草をとり、天ぷらやお吸い物、

草だんごとして調理し、昼食にした。午後からは、井仁の棚田を利用して養殖されたホンモロコ

を使ったホンモロコバーガー、カレーを作り、井仁地区の方々との交流会を行った。いろんな

話が聞け、とても貴重な時間であった。

9/17(土)

インターンシップで学んだことを受け、グループワークを行った。議題は、インターンシップで

感じたこと、田舎で学生は何を学べるか、井仁地区へ学生に来てもらうために必要なこと、取組

について話し合った。

 

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学生レポート抜粋

学生A:過疎化が進んでいる地域などで、住民の方の元気がなくなっているという話を聞くことがあったが、井仁地区ではみなさん明るく非常に活気があるなと思った。実際お話を聞くと、事前に想像していたよりも子供の数も多く、高齢化がそんなに進行していないのかもしれないと感じられるほどであった。

 野草を採りに行った時に、非常に多くの種類の植物が生えていたので、今まで雑草と思って特になにも感じない部分があったが、食料の豊富さなどの、自然の凄さを改めて感じた。生活してみて、飲み物を買う場所があまりなかったので、外部からこられた方のために自動販売機といった、飲み物を買う場所を設けると良いのではないかと思いました。夜の静かさなど、全体的に心が落ち着く、時間の流れがゆったりと感じる場所だったと思います。環境の大切さを改めて痛感する6日間でした。今回の経験や、考えが変わったことなど今後の学生生活に活かし、自分自身成長していきたいと思います。

 

学生B:初日の説明だけでは見えてこなかった地域の魅力や問題点などが日を追うごとに明らかになり、人と話すことの重要性を痛感した。集落の高齢化の問題点や空き家の現状などについて実際に地域の方に話を伺うと、高齢化の問題にもオーナー制度などの取り組みがあることや意外にも子供の数は多いこと、また空き家の問題も売り出しに出されているというわけではなく、定期的に家族などが掃除を行って維持している家もあるなど問題の細部や地域の方の心情も分かってきた。地域のための取り組みには、しっかりと地域に寄り添った支援や取り組みが不可欠であると感じた。

 そして何よりも地域の人の結びつきが強く、食事会でも全員が互いに認識し、家族のような温かい雰囲気がとても印象的であった。これも多くの方が棚田での農業に携わり、そのような仕事の面などで共通点を持っているということも要因に挙げられるのかなと思う。また、井仁の地域はイノシシやサルなどの作物に被害を与える動物に対して4kmの柵と地域の周りには扉が設けられている所もあり、そうした共通の悩みなども井仁の人々の結束を強める一つの要因だと感じた。今回の研修を通して普段の大学生活ではあまり関わることのない世代との交流ができとても新鮮で貴重な経験であり、こうした経験を今後の学生生活や就職活動に役立てて行きたい。

学生C:井仁地区で特に感じたのは、小さい集落が必ずしもデメリットになるものではないということだ。住民間の密な交流が活動等を支えているのであろうと感じた。しかし、体験活動は現在、グリーンツーリズムがだんだんとメジャーになってきており、単に稲刈りや草刈りなどを行うのではなく、「井仁地区に愛着を持ってもらうこと」が重要であると思う。

 

学生D:この実習を通じて感じたことは、住民がみんな気さくでコミュニケーションがとりやすいということだ。また、井仁という集落は、空き家が多くあるがご子息の方が定期的に戻ってその家を管理しているためだそうだ。井仁は安芸太田町の中だけでなく全国の中山間地域に比べて高齢化率が低い地域でとても凄いことだと思うが、今後の井仁を維持していくためには若い世代の力が必須になってくると思った。

 

平成29年度インターンシップ

安芸太田町井仁で、生物生産学部2名、教育学部1名、理学部1名の計4名が、9月11日から5泊6日のインターンシップ研修を行いました。研修は、受け入れ先の井仁集落はもちろんのこと、安芸太田町地域づくり課と地域おこし協力隊の全面的な支援と連携のもとに実施しました。

クラウドファンデイングの資金で運営する棚田カフェの手伝いや伝統食を踏まえた料理作り、高齢者宅の草刈り、棚田米の収穫やはで干し、地域資源・文化の活用方法のワークショップなど、学生の目から見た地域文化・地域資源を考え実地に研修しました。

月日(曜日)作業・研修名左 の 内 容
9月11日(月)顔合わせお世話になる方々との顔合わせと研修スケジュール決定。
自炊用野菜収穫13日に草刈りする畑で自炊用の野菜を収穫。
椅子、机の片付け外で使用した机、椅子の雑巾での水拭きと片付け。
9月12日(火)挨拶回り近所のお年寄りにお花を配りながら挨拶回り。
野草摘み周辺の食べられる野草などの学習と摘み取り。
交流会作ったカレーライスと野草ピザで近所の方と夕食交流会。
9月13日(水)草むしり近所のお年寄りの家の庭の草むしり。
草刈り草刈り機を使って棚田の畑の草刈り。
9月14日(木)稲刈り棚田での稲刈りとはで干しのお手伝い。
看板製作井仁外部の人に向けた駐車場までの案内看板製作。
9月15日(金)木工体験(あかり絵)行灯の模様となる木工彫刻の体験。
稲刈り棚田での稲刈りとはで干しのお手伝い。
倒れた穂の立ち上げ後日、稲刈りをする棚田倒れた穂の立ち上げ。
9月16日(土)振り返りワークショップ井仁の方と研修の内容や感想の共有と井仁の現状の理解。
全日地域新メニュー地域メニュー実習と試作

研修した学生の感想

 ・訪れる人がそう多くはないのが井仁の魅力の一つであると思う。都会の喧騒から逃れて訪れた人には訪問地も人が多いとうんざりしてしまうだろう。田畑と住居が一体化し、生活感に溢れ穏やかに時間が流れる井仁の地で快く過ごせると思う。
・人が優しいことも魅力だと思う。稲刈りのときたまたまいらした方が何も言わずに手伝ってくださったことには驚いた。
 “農村や“田舎”と聞くと昔から変わってないというイメージがあるが、全くそういうことはなくむしろ積極的に新しいことを取りいれようとしているのが印象的であった。その中でも昔ながらの懐かしい部分を残してあることは井仁地区の方々の努力の結果でしょうか。
 井仁棚田米やかぼちゃ焼酎などが道の駅だけでなく井仁内で購入できる場所があれば良いと思った。棚田カフェでも野菜の販売などもされていたが、もっと種類を広げられたら良いと思う。また、棚田カフェの場所や駐車場の場所ののった最新の井仁の地図がweb上にあると気軽に観光客の方も訪れやすいのではないかと思った。

 

平成30年度インターンシップ

平成30年9月10日~14日の4泊5日で、井仁地域における広島大学地域志向インターンシップを実施しました。参加学生は2名で、オリエンテーション、交流会のチラシ作り、産直見学、梅田工房でお箸作り、空き家の草刈り、しわいマラソンの歓迎幕作り、井仁地域の歴史・文化を地域の方から学ぶ、稲刈り体験、インターンシップ学生と地元の方々の交流会の準備、交流会への参加など、多様な研修を行いました。

 インターンシップ報告書を作成し、学生が感じた井仁の価値や井仁への提案などを報告しました。

 

月日(曜日)

作業・研修名

左 の 内 容

 

9月10日 (月)

自己紹介、14日開催の交流会案内チラシ作り、各家庭訪問(ご挨拶とチラシ配布)

午前中に、交流館で自己紹介をし、午後からは14日開催予定の交流会を知らせるチラシを作った後、集落支援員と一緒に各家庭を回り、作ったチラシとカフェのチラシを配った。

9月11日 (火)

産直市見学、木工作品作り体験、住民が不在の住宅の庭で草取り

朝、地元産の野菜や手芸品を販売している産直市を見学した後、梅田工房にて鑿を使って箸を作る体験をし、昼過ぎから夕方頃にかけて住民が不在の住宅で庭の草取りを行った。

9月12日 (水)

しわいマラソン歓迎幕作り、井仁の棚田や集落の歴史を学習(座学、現地)

午前中は、9月16日に開催される第9回安芸太田しわいマラソンの走者を応援するための歓迎幕を作成した。午後からは井仁の棚田や集落の歴史について地元寺院の住職のお話を聞いた。

9月13日 (木)

棚田での稲刈りとはで干し体験、翌日の交流会用の料理と歓迎ボード作り

午前中は、棚田で稲刈りとはで干しを体験し、午後からは、棚田カフェにて翌日の交流会のために料理を作ったり、黒板に歓迎する挨拶を書いて店に置いたりといった準備をした。

9月14日 (金)

井仁地域の住民との交流会

棚田カフェにて井仁地域の方々をお招きしての交流会を開催した。米粉を使ったナン、井仁で採れた野菜を使ったカレー、栗ご飯と白ご飯のおにぎり、かぼちゃのお菓子をお出しした。